吉祥寺よりミュージカルへの愛を込めて<久田菜美Birthday LIVE>
今日は吉祥寺 STAR PINE’S CAFE でのライブのお話。
作曲家・音楽監督の久田菜美さんのバースデーLIVE。
彼女と親交があったのは現役時代でかれこれもう10年近く前になる。当時はクラシックの作曲を勉強していた彼女は、いつのまにか若くして日本ミュージカル界でも存在感のある作曲家となっていた。
2年くらい前からミュージカル沼へ浸かりにいって、この期間、山ほど音源を聴き、コンサートに足を運んだ。
そのミュージカル界へのトビラとなってもらったのが彼女で、いろんな歌手やコンサートを紹介してもらい、とても感謝している。
そんなこんなで、それなりに知識も増えてきて、今日のスペシャルLIVEのゲストの豪華さに驚きつつ、早々にチケットをお願いしていたわけです。
全11曲。彼女の記念LIVEなので、彼女の作品オンリー。
学生時代からお洒落なCode進行、ポップなメロディライン、矢継ぎ早に生まれる気の利いたアドリブなど、クラシックらしからぬそのセンスに嫉妬と羨望を覚えるくらいには目立っていた。
そんな彼女の代表作を集めたので曲的にハズレはない。
支えるバンドは実力者揃い、歌う歌手陣は一線で主役級を張れるメンツで、盛りだくさんのコンサートだった。CDも購入。
お客さんも愛情溢れていて、あぁそういう会なんだなぁ、彼女の人徳だなぁっていうのが第一印象。
特に女性歌手陣が豪華で、レミゼ歌手や文字通りテープが擦り切れるまで聴いたディズニーの中の人の歌声聴けて嬉しかった。
表立って電波に乗ってこないんだけど、こういう隠れた実力者、この業界いっぱいいるんだよね。
2年前までは知らなかったこと。
みんな結構精力的にLIVEやってて、その気になればすぐ聴きに行ける。
今日は本当にそんなお得LIVEの最たる例だった。
彼女には感謝しかない。
<ミュージカル界へ愛を込めて>
ここからは個人的に最近感じていること。
こんな実力者たちがいて、なんでこんなにまで日本ミュージカル市場は小さいのか。
沼に沈んでから、自分も企画側になろうと計算機をたくさん叩いた。
メジャーになりきらない実力者にもっと光を当てたくて。
勇んでいろんな企画を考えたんだけど、実現の目処は立っていない。自分の未熟さも多分にあるけれど。
誤解を恐れずに言うならば、最大の障害は一般的に「需要がない」ことなんだ。
悩みに悩んで立てた企画たちはその言葉で一蹴される。
アンケートで「ミュージカルを観たい」と書く人はかなり多い。該当質問の3〜4割を占めているといっても過言ではない。
でも、そんな人達は実際に公演を打つと、客席には来ない。"四季以外は"
足しげく、こういうLIVEに通って気づいたことがある。
・チケットコントロールが出来ていない
・時間通りに始まらず、事故並みに押す
・PAのバランスが悪い、調整できない
・6〜7割をトークが占める
・客席が隣と触れるくらい狭い
・客の何割かはいつも見る顔、関係者多数
よくある。たいていこうなる。
自分は好きだからいいけど、大事な人を気軽に誘えるかと聴かれればNOだ。
今日のライブハウスは老舗だけあってよく捌いてた方だけどね。
アングラなバンドとかがこうなるのはあるあるだけど、最前線の実力者でもこんなパターンがかなり多いように思う。
日本オリジナルミュージカルに関しては、
・取り上げるテーマが一般受けしないものが多い
・セリフや歌詞が長すぎて頭に内容が入って来づらい
・だから感情移入しづらい
そうじゃなかったのは、四季、東宝、ブロードウェイもの。要するに銀座界隈でやってる大きいものばかり。2.5次元もわかりやすさ的には馬鹿にできない。
上記のようにブランド化したものであれば"客は来る"んだけど、ブランド化できてないものには本当に反応がない。反応するのはいつものライブハウスで見かける10数人が関の山で、これで1000人埋めろ、1500人埋めろって言われると絶望に近いものを感じる。
あぁ、無情。
日々の公演に忙殺されるうちに、企画書は書類の下の方へ。
愛はあるんだ。今日の彼女達の歌が自分の公演で聴けたらどれだけ嬉しいだろう。
ただ、そこに立ち塞がる壁はいつも厚い。
その壁を打ち破れるのは、恋人(候補)や家族を特別な日に招待したくなる、そんな雰囲気作りからなんじゃないかなぁ。自分が頭を捻るだけじゃ無理だよ、と最近後ろ向きに。
親近感ある家庭的なライブ、出演者の内輪話、特定の常連客との会話、その積み重ねが小さな市場を育ててしまってるのでは、と半ば八つ当たり気味に思わずにはいられない。
アーティストのSNS観てても、内輪ネタがとても多い。中身を知ってる人が見れば面白いんだけど、新規にはわけわからんだろうなって話が多い。
いろいろあるけど、浅利慶太は本当に偉大だったんだなぁ。
そんな愚にもつかない感想で今日は〆。
さて、この沼に浸かりきった片足をこれからどうしよう…?