Fav乃音

元楽器吹きの備忘録。雑貨、電子機器、ダイエット、コンサート、ゲーム・・・ ~My favorite things~

オーケストラのイキモノ大図鑑 感想

オーケストラのイキモノ大図鑑

2/11 東京芸術劇場

東京交響楽団

tokyosymphony.jp


在京プロ・オーケストラが持ち回りで毎年開催している「子どもたちと芸術家の出会う街」シリーズ。

ひょんなことから伺いました。

本職に近いので今日はマジメです。

 
子ども向けのクラシック演奏会ってのはよく謳われて開催されるのだけど、正直クオリティはピンキリ。

理由は様々だけど、私が一番重要なのはファシリテーターの存在だと思う。

理解が深まるまでは司会やMCって呼ばれてたポジション。

個人的に日本語に訳するなら、「導き手」だろうか。

今回、そのファシリテーター役を務めたのは若くしてこの業界の最先端を走る野口綾子

彼女はここ10年弱、この分野の研鑽を重ねてきた人物である。

 

ファシリテーターとは?

言葉や身体表現を巧みに使い、会場の緊張を解き、参加する雰囲気を作り出す。

これはプロのアナウンサーはもちろん、演奏家にはない技術。(これがもっと認知されて欲しい)

会場内1700~1800人の親子連れが一緒にオーケストラと歌い、踊り、必要な場面では静かに聴きていた。

来場の子供は4歳~小学校低学年であるので、このメリハリを作るのは学校の教職員でも超難易度。

だって、全く関係ない子供達が1000人弱集まるんだもの。

 


前半の、言ってしまえば楽器紹介コーナー。

現役の時、幾度となく私も経験したけど、たいていマンネリ化してることが多い。

それを、子供(大人)が飽きないテンポ、展開で構成。間に入れる会場との会話がマンネリ感を払拭してた。

下手な進行だと既にここで子供(大人)達が飽きちゃうんだけど、ほとんどが集中して聴いてた。

これは滅多にないことで、本当に素晴らしい。

 


その後はお話と共に奏する「チューバのタビーの物語」。

これがまた秀逸なナレーションだった。

アナウンサーは声色は変えれても、場面に合わせて歌えないし演じられない。楽譜がしっかり読める分、朗読のタイミングも完璧だ。(ほぼ暗譜してたはずだけど、本来これも大変な作業)

 


この手の演奏会、かつオーケストラバックの規模ではダントツで良かったです。

秀逸な子供向けは大人もガチで楽しめます。

これは構成も携わったと聞いている彼女の貢献が大だと思う。

 


まだまだ、このファシリテーターという枠割は認知度が低く、前線を張れる人材は少ない。

優秀なファシリテーターがいても、トーク中に横にいるプロの指揮者や演奏者が小難しいことを言い出して、せっかく作った雰囲気や流れが淀んでしまうこともよく見かける。

どうしても自分の専門分野に饒舌になってしまうプロ諸氏、ぜひ気をつけていただきたい。

 


今後は、このような導き手が注目され、企画を構成できる機会が増えていけば良いなぁと思い、願う。